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蒼の十字架16
太陽が沈み始めて王子を探しに町へと来ていた青年ことサクは一通りどころか何十週も町を回ったが見つける……否、捕まえることが出来ないでいた。
まぁ、サクにとってみれば見つけたら捕まえたようなもんなのだが。
しかし、いつもならその日に捕まえられる。
つまり夕暮れには城に連れ戻せていたのだ。
それはこのいつもの脱走が王子による退屈しのぎの暇潰しで満足したらサクに捕まってやってるのか、それともただ単に本当にサクが見つけ出しているのか?
その辺の真意は分からないが少なくても今の時間まで捕まえられないとなると流石にサクも真の意味での嫌な予感もしてくる。
これだったら町でガラの悪い男どもをボコボコにしていたっていう最初の証言が現実の方が幾分どころかかなりマシになる。
その場合、王子ということは分からないのだから。
ただ今、他の国同士が揉めていたり、ましてやお見合いの話も進んでいる今、ここで王子の身に何かあったとなればこちらも非常事態だ。
そうなればその隙をつかれて一気に国を落とされる可能性だって十分にある。
日が沈まれたら、正直言って探し出すのは困難だ。
昼の明るい状態でこうなんだから。
なりふりかまってられないと判断……というかもはや決意をしたサクは城に戻って話の分かるやつに応援を頼むことにした。

「サクさんがってよっぽどですね」

「今回ばかりはちょっとな……」

「まぁ、今の状況が状況ですからね。でも自分が言いたいことはそっちじゃないです」

「あん?」

「王子関係は何があってもサクさんが自分で何とかする!というプライドを持ってるようですから」

「いや、そんな気持ちは全くないぞ?」

「あれ?そうですか?」

「俺以外であんなやつの面倒見れる人なんていないだろ」

ため息をつくサクに頼まれている男性はこの人もなかなか素直じゃないなと心の中で苦笑した。
周りに気配りはしっかり出来るし、上司として尊敬もしているがサクももっと自分の気持ちというのを大事にした方がいいと男性は思っていた。
サクは良くも悪くも何だかんだ言いながら忠実、これに限る。

「えっと、手伝うのはもちろん構わないんですが時間も時間ですし、何かあったらということを考えるなら自分よりナオナリやハヤトの方がいいんじゃないですか?」

「ユウジの言ってることは最もだし、実は俺も最初はナオナリに頼みに行こうと思ったんだ」

サクもユウジも城に仕える者であり、厳密に言えば兵士ではない。
普通の人よりは戦えるし、心得もあるが万が一やユウジの言う何かあったらの場合に対応出来るかというと当然、話は違ってくる。
そういう意味で実力もあるナオナリが適役だとサクもユウジも考えたわけだ。

「ただナオナリ、なんか命令を受けたらしくて城に今、いない」

「え、そうなんですか?じゃあ、ハヤトは……ってハヤトは護衛か」

「そう。まぁ、ハヤトに頼んだところで動いてくれるとも思えんが」

ユウジは今度は顔に出して苦笑した。

「そういや、ハヤトに護衛に行かせるためにナオナリに別の命令を出して国に留まらせる的な感じの話をしてましたね」

「なるほど。ハヤトならナオナリに押しつけそうだしな」

数時間前、その通りのやり取りがあったことは二人はもちろん知らない。
しかし、想像がつく辺りハヤトはいつもこういうことをしているのだろう。




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