蒼の十字架18
町では昼にやっていた店を閉じているところも多々あるが逆に夜にしかやらない店もあり、中には昼も夜も開いている店もある。
同じことをやっている店もあれば昼と夜で別のことをする店もあるなどこの町は夜も変わらず賑わいを見せている。

「久々に来たけど相変わらずの町ね」

綺麗な和装に身を包んだ女性が町に入っての第一声がこれだった。
夜だというのに明るさで言えば昼に負けていない。
この町の人たちはいつ寝てるのだろうか、などと初めて来た人は疑問に思うこともあるらしい。
現にこの女性もそう思った一人だ。

「さーてと、さっさと用件済ませないと楽しめないわね」

しかし、今ではすっかりこの町の夜の雰囲気にはまったらしく、満喫するつもりらしい。
グッと両腕を上に伸ばして城の方を見る。
そして行こうと一歩足を踏み出した瞬間、後方から何かが飛んできた。
気配は僅かながら察知していたため瞬時に避け、周りを警戒した。
最初から警戒はしていたが態度に出すと相手は仕掛けて来ない。
夜に奇襲的に攻撃してきた時点で正体はバレたくないのだろう。
そんなのが毎回のように現れたらしんどいから警戒して取り逃がしたり、自分から逃げてたらキリがないからこのような方法を取っているのだが何回もやっている辺り、意味がないことにそろそろ女性も気づいたらいいのだとは思うが元々、好戦的でもあるため仕方がないのだろう。
むしろ、わざと仕掛けてる気すらしてくる。

「……?」

警戒をしてきてから気配が一気に変わった。
簡単に言うと殺ってくる気配がしない。
視線だけで周囲に気を向ける。
相当の手練れなのか?
それともすでにこの場を去ったのか?
いや、それはない。
女性の勘と感覚がそう告げている。
久々に味わう余裕のない感じ。
危機感と共に少し高揚もしてきた。
その高ぶる気持ちを抑えて小刀を取り出し、逆手に持って構える。
緊張感がその場を支配する中、女性がふっと僅かに息を吐いたその時だった。
五つの刃物がほぼ同時に飛んできた。

「くっ……!」

二つを小刀で弾き、後は横に跳んで避けた。
片膝をつきながらも体勢を崩さず刃物が飛んできた方をしっかりと向く。




Copyright © 蒼の世界-Ao no Sekai-. all rights reserved.