蒼の十字架24
「ユウジさん。サクさんを起こして城に行って」

「なに?」

「少しでも兵士を呼んで。それぐらいの時間なら稼げる。恐らく、猟兵の……いや、この二人の狙いは他にある」

「だ、だがそれまでの時間をリノは……!?」

「私は女狐のリノ。騙すのが仕事よ」

ユウジを見て華麗にウィンクを見せる。
そう、ここで逃げたりするぐらいなら血閃を見かけた時にこの町を去った。
いや、血閃を見たからこそ、サクとユウジを助けに飛び出した。
別に異名にこだわりなんかないがせっかくつけられた名だ。
どうせなら恥じない自分を貫く。

「いっくよー、リノ!」

「はぁっ!」

女狐と紅戦姫の戦いが始まった。
こうなってしまってはユウジには手助けしようがない。
だからせめて言われた通りにするしかない。

「サクさん!」

ユウジはすぐにサクに駆け寄る。
しかし、それを見逃す血閃ではなかった。

「おいおい、女狐の狙いぐらい気づけよ。女狐がそこまでするってことはあいつら、結構、重要ってことじゃねーの?」

血閃が銃を構える。
その狙いは倒れているサクだ。

「くっ!?」

「おやおやー?気をとられてー、私のー……スピードについてこれるわけぇ!?」

血閃の言葉はハッキリとリノに届いていた。
もちろん聞こえるように言ったわけだが。
意識が僅かにサクに向けられた瞬間を紅戦姫に狙われて小刀を弾かれる。

「戦えないやつ二人に女性一人。そんな相手に一流の猟兵が二人がかりは卑怯だろ」

鈍い金属音が響いた。

「ほえ?どしたの?」

紅戦姫が血閃の方を見ると長い銃口が真っ二つになっており、血閃はすぐにその銃を投げ捨てた。

「好き勝手やってくれた礼だ。それに二対二なら公平だろ」

「ナオナリ!」

ユウジが名前を呼んだのはこの国一番の実力者のナオナリだった。
ユウジに対して軽く笑みを見せたがすぐに得物である長刀を構えて血閃を睨みつける。
銃を投げ捨てた血閃はお手上げのポーズをして紅戦姫に合図を出した。
紅戦姫は明らかに不満そうな顔をしたが血閃の側まで一回で跳んだ。




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