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蒼の十字架26
「それより話を進めたいんだけどリノとナオナリの今日の行動を教えてくれないか?簡単に言えばなぜリノがここにいてナオナリが今までいなかったのかを」

ユウジが質問をすると最初に口を開いたのはリノからだった。

「私はある人からの依頼での調べごと。後はついでにサクさんに情報を伝えに来たの」

「サクさんに、ねぇ……どっちがついでかな?」

ナオナリの茶化しにリノは無視を決め込んだ。

「調べてることは?」

「それは依頼主の希望でまだ伝えられないけど関係あるからいずれ話すわ」

「じゃあサクさんへの情報は?」

ナオナリは顔はニヤついているが話は進めようとはしているらしい。
それがまたリノにとっては癪にさわるのだが……

「まぁ、サクさんにというかこの国のため、だと思うんだけど……」

ちょっと言葉を濁して言いづらそうにする。
ユウジとナオナリは顔を見合わし、不思議そうにする。

「王子を見たわ」

「何ぃっ!?」

リノが一段と小さな声で言った発言にいの一番に反応したのは倒れていたサクだった。
もちろん、三人全員が驚いて身体を少し震わせた。

「急に起きないでもらえますか?」

ユウジが目を細めて起き上がったサクに注意した。

「王子のことに関しては相変わらず恐ろしいぐらいの忠誠心ですね」

ナオナリの聞き方によっては皮肉に聞こえる言葉もサクには届かず、リノを凄い剣幕で問い詰めていた。

「どこに……?とこで見たんだ!?」

「お、落ち着いてサクさん……」

「あのバカが今頃、何かしでかしてると思ったらそれだけで……!」

本当に恐ろしいのか身を震わせ頭を抱えた。
猟兵相手に交渉しようとするほど堂々と話していたくせに、とユウジは失礼と思いながら若干呆れてしまっていた。

「王子に関しては俺からもある。女狐のその話の前に俺の話もいいか?」

今度はナオナリの話となった。
ちなみにナオナリとリノもサクやユウジとほぼ同じ知り合いというか関係性なのだが女狐と異名がついてからは真剣なとき以外は女狐と呼ぶ。
今は真剣な場面ではないのかという感じだが基本的にナオナリも兵士としてや指揮をとる立場上、凄く真面目で堅いイメージが世には広まっているが気を許している人たちには普通の友人として接する。

「ナオナリは国からの命令があったんだっけ?」

「あぁ。最初、命令を受けた時はハヤトを王子のお見合い相手の護衛に行かせるために俺をこの国に留まらせるためだと思ったんだけどな」

現にハヤトに押しつけられそうになったし、と付け加えるとやっぱりか……とサクとユウジは苦笑した。

「その命令って一体何だったの?」

「この城下町の一番近くの村。そこから来る物資が遅れているから確認してきて欲しいってな」

三人は言葉を失った。
もちろん、三人が思ったことは一緒だ。
その程度のことで国はナオナリを使ったのか、と。

「一応、聞くが問題あったのか?」

「まぁ、問題はあった。村の物質とかは全く関係ないがな」

「どういうことだ?」

「サクさん、王子がいなくなったのっていつですか?」

「俺が気づいたのは今日の昼前だな」

「俺もハヤトからそのことを聞いたのは昼の訓練後です」

「それから命に出たわけ?」

「そ。だけど村の人とやり取りをして城に帰る途中、ある人物と会った」

まさかそれが王子と言わないよな……と三人は息を呑んだ。

「いや、流石に王子を見つけたら連れて来てる」

三人の表情から汲み取ったナオナリは否定した。

「リノは分かると思うが風雷が目の前に現れた」

「風雷?」

サクがまた聞いたことのない異名が出てきて聞き返した。
しかし、それを聞いたリノの顔は険しくなった。
ナオナリがリノを名前で呼んだ時点で深刻さが物語っている。

「風雷のシュンスケ。この大陸に暗躍する執行者だな」

「聞いたことはあるけど何でナオナリの前に?」

「知るか。理由も言われないし、無言で襲ってきたんだよ。それで今の今まで相手をしてたわけ」

「つまり、ナオナリは足留めを食らってたってわけか?」

「そういうことですね」

「でも風雷ってあの死神と一緒で誰かに依頼されて動くって聞いたけど?」

ユウジの問いに真っ先に答えたのはリノだった。

「そういうわけでもないみたいよ」

「えっ?」

「この町に着いてすぐ私は死神と会って戦ってる」

衝撃発言に二人はもちろん、ナオナリも流石に驚いた。
サクも死神の異名は知っているらしい。

「え、じゃあ……お前、幽霊?」

「失礼よ、サクさん!」

「でもよく生きてたな。噂通りだとその手の依頼で失敗は聞かないが?」

「なんか依頼じゃなかったみたい。私のウデを試したかったらしいわよ」

「随分とモテるんだな、女狐」

「どうせならいい男にモテたいわよ。それよりナオナリさんが戦った風雷だけど死神と通じてるって噂もあるわよ?」

「は?」

ナオナリは唐突過ぎて抜けた声を出してしまった。
変わりにユウジが口を開いた。

「俺は詳しくはないけど死神と風雷ってやってること一緒じゃないのか?」

つまりは商売敵と言いたいのだろう。
現にそれこそ、この二人が対立している噂はその道の人たちは聞いたことは必ずある。

「それこそが迷彩。ま、確証はないけどね」

「女狐の欺いてるとは相手さんも厄介だな」

「でも問題は……」

「その死神、風雷、そして猟兵。この国の城下町付近でヤバいやつらが相次いで現れたことか」

サクの言葉にリノは頷き、ナオナリは腕を組み、ユウジは思わず唾を飲み込んだ。

「そしてこんな時に王子のお見合い話もだが肝心の王子が行方不明とはな」

「あの……」

四人が話しているところに一人、女性が近寄り話しかけてきた。
すぐに反応したのはサクだった。




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