蒼の十字架27
「あれ、確か町の茶屋場の?」

「あ、はい。やっぱり昼間の方ですよね?」

この会話に対してすぐに三人は各々、発言をし始めた。

「サクさん、王子を探しに来つつちゃっかりと、ですか?」

「違うわ!」

「ふ~ん……ま、サクさんも男だしね」

「あのな……」

「俺は反対はしませんが王子を使って町に来る理由にはしてはいけないと思いますよ?」

「ナオナリ……お前まで何を言う……」

三人の明らかに誤解している発言にゲンナリとしたところで女性が戸惑いながら話に入ってくる。

「えっと、城に仕えてるとお聞きしたので分かるかなって思いまして」

「何がですか?」

「サクさんって方をご存知ですか?」

女性の口からサクの名前が出て当人は目を丸くし、三人は揃ってそら、見たことかという顔をした。
もちろん、サクが睨みをきかせた後に話を進めた。

「自分がサクですが?」

「あ、そうだったんですね。改めて私は茶屋場で働かせてもらっているナナミです。昼、助けて頂いた方からこれを預かったんですが……」

「助けた?」

あまりに色々、ありすぎて一瞬なんのことか分からなかった。

「あの、あなたが探していた、左腕に蒼色の腕輪をつけた……キャッ!?」

ナナミという女性が言い終わる前にサクはナナミの両肩を掴んで詰め寄っていた。

「あの男は今、どこに……」

今度はサクが言い終わる前にリノの小刀がサクの頭に強打した。

「不埒よ」

「いや、死ぬけど……」

ユウジは呆れていたが刺さらなかった時点で偽物と分かったため慌てはしなかった。
痛む箇所を擦りながらリノと言い合いが始まったところで話し相手がナオナリに変わる。

「それでその人から何を預かったんですか?」

「あ、これです」

ナナミが取り出したのは紙だった。
ナオナリは受け取り、ユウジに騒がしい二人を止めさせてその紙を四人で見てみる。

『俺の身柄は俺が預かった。返してほしければそれなりの誠意を見せよ』

四人は当然、言葉を失った。
というか何だこれ、というしかなかった。

「すみません、これだけですか?」

ナオナリがナナミに聞くとまた紙を取り出した。

「あ、えっと一通目を見せた後にこちらを見せてほしいと」

また四人でその紙に書かれている言葉を読む。

『にゃーんてね。ちょいと野暮用ッス!ちゃんと帰るから心配しないでね。サクくんなら誤魔化してくれると信じてるよ!帰るまで頼んだよ!』

サク以外の三人はそれぞれどうしようか考えつつ、恐る恐るサクの様子を確認する。

「あんの……バカやろう……!」

紙を握り潰して怒りの声を発した。その声は小さかったがその場にいた関係者たちには悲痛の叫びにしか聞こえなかった。




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