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蒼の十字架38
「リノ!」

「は、はい!?」

急に覚醒し、立ち上がったサクは場所を考えずにリノの名前を叫ぶ。
まぁ、最も誰もこの程度の声では気にしないほど外が作業でうるさいため問題はない。
そもそも普段から活性化されているこの町において静かな場所はある意味、一番は城かも知れない。

「どこで……どこであのバカを見たんだ!?」

今更ではあるが皆が王子に対しての言動があまり不適切でないのは王子の性格たる所以だ。
しかもサクと王子は実は同じ年でもあるため、公共の場以外では特に下としての発言はしない。

「落ち着いてください、サクさん」

「サクさんにそんな言い寄られたら女狐はキョドって話せないですよ」

「キョドらないわよ!」

「キョドるってどういう意味よ?」

「ユウジさんは黙ってて!」

ナオナリはマジメな話をしたいのか場をかき回したいのか真意は不明たが一つ確かなことはリノをからかうのは好きらしい。

「いいから、いつ、どこだ!?」

サクは王子のことで頭がいっぱいらしい。
これは流石に喋らないとサクの人格がこれ以上の崩壊を招くだろう。
そう判断した三人、ユウジはもちろん、ナオナリも黙ることにしてリノが話せる雰囲気を作った。

「正確には王子らしき人物よ。顔は知ってるからちゃんと見えれば確信は持てたんだけど」

「ってことは見えなかったのか?」

「なんか変な仮面をつけてたわ。それに職業柄、雰囲気とかを察知するのは長けてるつもりだし……」

それは王子だなっとユウジとナオナリは思った。
サクも呆れるところだがやはりそれどころではないようで追及は続く。

「それで、そんな格好のあのバカをどこで見たんだ!?」

サクの剣幕に押されながらもリノは咳払いを一つ入れてちょっと小さめの声で答えた。

「私がちょうど見かけたのは藍の敷地内に入ろうとしてるところね」

サクも含めて三人は言葉が出てこなかった。
共通して思ったことは、これはまたややこしいことに……だ。
もちろん、リノの情報が違うのを願いたいがこの手のことでリノが間違えるのは正直、考えにくい。





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