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蒼の十字架39
「それは本当にあのバカだったのか?」

少し正気に戻ったサクがリノに問いかける。
そう、サクが正気を取り戻すほど王子を見た場所はかなり重要だったりするのだ。

「さっきも言ったけど顔は見てないから断定は出来ない……」

だが先ほども書いた通り、その手のリノの感性は人並み以上。
職業柄とサクを思って確信がない以上は決めつける言葉は言わないが……

「雰囲気なんて確かに曖昧だ。リノならほぼ間違いないとは俺は言えるが背格好とか顔以外の見た目からでもお前ならきちんと判断出来るだろ」

そう言ったのはナオナリだ。
ナオナリなりにサクには気を遣ってるが王子を見つけない限り、事態は悪くなる一方だ。
なら、多少踏み込んででもリノにはハッキリと言ってもらわないと話が進まない。
もちろん、リノが言えないのも分かるし、自分がその立場だったら気が引けるのも確かなのだが……

「王子の特徴はやっぱり髪と左腕の腕輪ですよね」

「まぁ、腕輪は服装とか次第じゃ簡単に隠せるけどな。その人物、つけてたのって仮面だけか?」

ユウジの言葉に付け足すようにナオナリが続いた。

「というかあの腕輪隠せと何度言ってると思ってんだ……!」

リノが喋る前にサクの沸点がまた上がった。
昨日の昼間の茶屋場の娘がその腕輪を目撃しているのを思い出したのだろう。
後述はするが重要な物である。

「えっと、悪いけど私がここまで断定出来ないのはそこなのよ」

「つまり両方、分からなかった……か」

「完全に雰囲気だけ……でもリノはそれが王子だって思ったんだろ?何となくの雰囲気だけで言うか?」

ユウジの指摘通り、今、蒼の事態は色々と起きている。
ここでそんな曖昧な王子情報を出したら蒼の重鎮であるサクはこうなるのも察するところだろう。
つまり、リノには少しだが確信が持てる理由があったと言える。
軽はずみで言うやつでも状況が読めない人物でもないからだ。
三人はリノの少しのためらいが分かり、その僅かが長く感じた。
リノは言わないと始まらないととっくに察していたがここである意味、言う覚悟を決めた。





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